一芸
母は最近悩んでいます。
職場で定年退職者が初めて出るのですが、時節柄大々的に送別会を開くことも出来ないので、飲食禁止の一芸大会が開かれることになったのです(職場の大会議室で...)。
「あんたは器用やき歌以外で」
と、先輩に指示され(歌は他の人に歌わせるらしい)、母はさて何をやろうかと考えることになりました。が、よくよく考えてみると、人様にお見せできる芸を何一つ持ち合わせてないことに気づき愕然としたのです...。
知り合いの女性は安木節を披露しまくっていたらしいのですが、なるほどこういう時に活きるのだな、と思い至ったのでした。安木節万歳。
で、行き着いた結論→マジック
決定して先輩にも宣言した後で練習を開始して気づいたのですが、これ、大変。
いかに己が器用でないかを思い知らされることだらけ...。
種も仕掛けも分かっているのにコインなんか消せやしない。指先の器用さが超必要。
そして話術。全然巧みじゃない話術を持つ母には超厳しい。
100均でマジックセットを買ってちまちまやってみるけれども、器用さが必要過ぎて美しく見せられずグレ始める母。いくつか購入してのやっと一つクリア、みたいな日々を過ごしております。
日に日にモノに出来ないマジックセットだけが増えていく様子にニャコさんとお父さんも苦笑い。
一芸って偉大だな...としみじみと遠くを見つめる母はもうマジックをやる気が失せています。
で、抱き合わせでいこう!と思い付いたのです。マジックとフリップ芸!
退職するゾフィアさん(仮名)の、「こんなゾフィアさんは嫌だ」をやってみようかしら、と。
話術が必要なものの最高峰じゃん...と今気づいたのですが、画用紙を買ってきてあとは描くだけの状態になっております。ゾフィアさんネタはいくらでもあるのです!
ここまで来たらニャコさんとお父さんも投入します。
「わたし、絵を描きたい!」
と、まんまとニャコさんが手を挙げたので、「よーし任せた!」と堂々と丸投げ。もれなくお父さんもついてくるはずなので安心です(二人は仲良し!)。
あとは、モノに出来ているマジックをどこまで完成度高く見せられるのかが勝負と言えるでしょう。
だってゾフィアさんネタは鉄板だから、きっと。例え無表情で語ったとしても分かってもらえる、はず。
最近、ゾフィアさんネタで母が腰が砕けるほど笑ったこと→ゾフィアさん宛に電話が掛かってきて、「ゾフィアさん電話~」と声が掛かりました。遠くにいたゾフィアさんがやってきて「はいはい」と保留状態の電話の受話器を上げたのですが。「もしもしお電話代わりました~」と自然な流れからの「もしもし!?もしもし!?」と不自然な流れへ。
たまたまその目の前で作業をしていた母はハッとしたのです。同時にゾフィアさんも気づいたのでしょう。
「あ、これバーコードリーダーや!」
ありますか?バーコードリーダーを必死に耳に当てて会話する力。すごいよ、ゾフィアさん!ゾフィアさん曰く「何か赤いと思ったがよね~」。それはバーコードを読み取るときに出る光線です!
こんな愛すべきゾフィアさんを立派に送り出すべく母は頑張りたいと思います。
出来るかな?