必死

「いってらっしゃい、気を付けて」

と送り出して一分後。玄関をダンダン叩きまくる音が...。

「おか~さ~ん (;´д`)」

はい、今日も帰ってきました。戸を開けると、ニャコさんが半泣き(...でもない)で、ばつが悪そうに立っておりました。

「またこけた~」

見ると、両ひざから血がタッラ~。はい、いつものパターン。スパッツも破れております。

母は、ぶつぶつ言いながら絆創膏を取ってきて両ひざにペタリ。

「今日は別に言わんでもえいろうと思うて言わんかったがやけど、走ったがやないろうね」

母は毎朝口がその形で固定されるのではないかというほど言っているのです、走るなと!!

「走った...」

「なぜ走る!?(般若の形相)」

 

あれはニャコさんが入学して早々のことでございます。

放課後児童クラブから帰ってきたとしても一時間は一人で留守番をしなければならない状態のニャコさんを心配してお父さんも母も必死に早く帰宅する日々。どう転んでもお父さんが早く帰りつく(母の職場は自宅からちょっと遠い)ので母は二番手として呑気に生きておりました。

しかし、その日は仕事が早く終わったので母はいつもより三十分以上早く帰宅できたのですが...。

帰宅すると、リビングで必死な形相で自分の膝を治療するニャコさんの姿が。それもズブ濡れ。

「どーいた!!!!!!!」

動揺が隠せない母。

「こけた~~~」

雨の中傘を差して走っていてすっ転び、膝は血だらけ。ズボンも破れ、おまけに顔面から地面に着地。メガネのレンズにもヒビが(うちは眼鏡一家)。

泣く泣く帰ってきても、家には誰も居ない。今思い出してもきっと心細い気持ちで必死に消毒とかしてたのだろうけど。

.....こんなときに限って母の方が早く帰ってくる羽目になろうとは。はっきり言ってこういう時ほど男手があった方がいいのに。運んだり、なんなり色々と。母は非力ですよ!

「傘は差しちゅうのに、急ぐ理由は何よ。走る意味は何よ(ぶつぶつぶつぶつ)」

うちは坂道が多い地域。だからよく小学生がすっ転んでいる。学校からも、よく転がっているので怪我に気を付けましょう(ざっくり言うとこんな感じ)、みたいなお便りもくる。...なのに、何故!!!!

消毒したり絆創膏を貼ったり、風呂場に連れて行って体を洗ったり(膝に染みないように←地味に大変)して一段落ついた頃にお父さんのご帰還。

.....良い具合で帰ってくるよなぁ、と妙に感心(ディスっているわけでは、決して...)。

そんなわけで、「たとえ急いでいても(っていうか急ぐような事態にならないよう素早く行動!)走らない!」と言い募る日々の幕開けです。

眼鏡のレンズ代、五千円也。母は心の中で泣いた...。

 

そいでもっての今朝。

「こけたけど、ちゃんと手をついたがでぇ(ドヤ顔)」

怪我しとるやないけ!血ぃ出とるやないけぇ!と母の怒りは収まらない。これで何度目だろう、こうして「いってらっしゃい」の後に数分で帰ってきて絆創膏パターン。

今朝走った理由は「遅刻すると思った」だそうですが、遅刻するような時間に送り出してはいない!と母はまた般若顔。ここだけは声を大にして言いたかったのです。

でも、こんなに坂道アピールをしていましたが、ニャコさんがすっ転んだのは平坦な道のところばかりでした(毎回確認済み)、トホ。

千歩譲って坂道なら仕方あるまい、と思えるのに、よりにもよって普通の道とは。どういうことなのでしょうか、先生。

絆創膏の消費量が多い我が家でございます。